されど風邪
数年前、友人の会社社長から教えられた話です。
「私は数年前に大病をした時、ごく近い家族以外の者に一切内緒で、東京の病院に入院し、手術を受け、療養した事がある」
会社や周りの者には、「長期の出張に出かけるので、連絡は取れないと考えておくようにと説明し、上京をした」
「何故そこまでして、社長としての病気を隠して行動したか?分かるかね?」と、私に聞かれた後。
「私の会社が、お陰で株式を公開するまでになったのも、銀行や取引先の方は、私のリーダーシップがあったからと観ている」
「わたしが今病に倒れ、長期療養や不測の事態になれば、会社の将来に大きな不安を感じ、当社との取引が損なわれることが十分予想できる」「社長である私の責任は、お客様や従業員、取引先にそんな心配を一切掛けないことの配慮なのだよ」
と、しみじみとお話をされました。
私はその時、社長として「健康管理の大切さ」「会社を取り巻く関係者に、無用な心配を掛けない細心の注意と配慮」がいかに大切なのかを、強く感じさせられた事を思い出します。
幸いそれまで大病をした事の無かった私は、その後の日常生活も安泰に過ごして来ましたので、その時の大切な話が少し記憶から薄れ掛けていた所、この度の事態となってしまいました。
通常、私も風邪はひきますが常備薬も飲んで、2~3日あれば回復してきました。
ところがこの度は、八月初旬にひいた風邪が、今日(21日)現在まだ回復していないのです。会社の決算や身内の葬儀もあり、また、お盆の病院の長期休診も重なり、市販の風邪薬を飲んだ上に、近くの診療所で見てもらったにも関わらずです。
結局、診療所の先生に「掛かり付けの耳鼻科に診察してもらった方が良いですよ」とアドバイスを受け、耳鼻科に行ったのがつい3日前でした。診察結果は、風邪をこじらせ鼻に膿が溜まっているとの診断で治療を始め、やっと落ち着いてきました。
社内ではその間、「社長の風邪は長いですね」と、社員に心配を掛け、接客した業者さんや銀行関係者には「風邪で、マスクしてすみません」と、弁解や説明の時間を費やし、申し訳ない応対をしてきました。
今回は「風邪」でよかったですが、「もし重い病気だったら・・」と考えると、改めて日常生活での軽率さを反省し、自分の立場と健康管理の重要さを常日頃から認識しなければと、戒めている昨日今日です。