すいーりぃのつぶやき番外編【木心通信Vol.132】

アグリ事業部 鷹尾賢一

アグリ事業部報告

2015年5月22日に竣工を迎えた木ゴコロファーム「アグリらぼ」は、今年で5年、全ての栽培室で栽培を始めてから3年が経ちました。毎年活動報告をさせていただいていますが、今回は現在の状況について3点に絞って報告します。

モデルハウスと兼用のShop外観

1. mogiyomogi

昨年9月に弊社東条モデルハウス内に、よもぎ専門店「mogiyomogi」(モギヨモギ)がオープンしました。「よもぎ専門店」と銘打ってはいますが、ヨモギに加えてレタス、アイスプラントも販売しています。現在は、平日の10時から17時まで営業しており、火曜日にはヨモギあん食パン、水・木・金曜日にはヨモギロール、ヨモギあんスティックが入荷します(2020年7月現在)。

販売中のパン

mogiyomogiで販売しているパンには全て木ゴコロファーム「アグリらぼ」産のヨモギが使用されており、ヨモギロールやヨモギあんスティックには生のヨモギの葉と茎を、ヨモギあん食パンには粉末を使用しています。継続してアイテム数を増やし、充実させていきたいと考えています。食品以外では、ヨモギ石鹸の試作を繰り返しており、納得のいく逸品を作り上げている最中です。

生産中のよもぎ

2.新型コロナウイルス感染症

この一年を振り返って最もインパクトがあり、今現在も影響の大きな新型コロナウイルス感染症の流行に触れないわけにはいきません。アグリ事業部では、普段の衛生管理に加え、換気や消毒をいつも以上に行いながら活動を継続しておりました。野菜の種子や栽培には影響はほとんどありませんでしたが、3月より、関東方面からの受注に陰りが見え始め、4月には顧客の中にも無期限休業や、閉店を選ぶ飲食店様が少なくない数いらっしゃいました。そして、5月には全国の市場からの注文がほとんど途絶えました。前述のmogiyomogiも自粛休業期間を設けていました。6月以降、関西を中心に注文がじわじわ戻ってきていますが、まだまだ様子見の数量で、昨年と比べると半数を下回っています。

一方で、ありがたいことに、地元直売所での販売は4月以降堅調で、外出自粛による巣ごもり需要によってか、例年と比べて販売数量が下回ることがなく、多い時では2倍以上を記録し、それはこの原稿を書いている7月現在でも続いています。

この件に関しては予断を許さない状況が続きますが、スピード感を持って柔軟に対応していきたいです。現段階で食品からの感染は確認されておらず、通常の衛生管理がなされた施設で作られた食品に関しては問題ない旨が厚生労働省や農林水産省から言われており、木ゴコロファームとしても、いつも以上に衛生管理に注意を払いながら、スタッフの健康共々、食の安全を守っていく所存です。

3. 高糖度トマトの生産

さて、今後の大きな取り組みの一つにトマトの生産があります。

人工光型植物工場「アグリらぼ」では、レタス、アイスプラントおよびヨモギの周年栽培を実現し、生産を続けています。おいしいことはもちろん、管理された環境において種子から一貫で管理・生産された野菜という点で、地元直売所や全国のパン、ハンバーガー店などで好評いただいています。この衛生管理された環境での安全・安心・安定というブランドを持たせた野菜のラインナップは現在のところ葉菜類のみであり、販売先からも他の野菜はないかという問い合わせを受けています。そのなかでもおいしいトマトを望む声が少なからず挙がっています。しかし、人工光を利用した植物工場では照度、採算性の関係から果菜類の生産は現実的ではありません。そこで、ハウス栽培によって、徹底管理されたトマトを生産し、年内に高糖度でおいしいミディトマトの収穫を実現させます。制御が容易な人工光ではなく、太陽光や外気を利用した栽培となり、制御しなければならないパラメータが飛躍的に増えるため、生産物の品質を高く保ち続けることが困難なことは想像に難くありません。しかし、栽培品目を増やそうとすると避けては通れない部分であることも確かです。栽培数は6,000株以上、年内の収穫を予定しており、真夏を避けて収穫を継続します。

現在、アグリらぼ内ではトマトの苗生産を実験的に行っています(本紙すいーりぃのつぶやきコーナー参照)。人工光型植物工場において苗生産を行うことで、コストダウンが図れ、苗の生育によって左右されない計画を立てることができます。人工光型植物工場の最大のメリットは、病害虫の侵入を最小限に抑えられることです。そのため、基本的には無農薬で育った安全な苗を作れます。育苗期に無農薬で育てられているため使用可能な農薬の幅が広がることで、定植後の防除面にもメリットがあり、自社管理することでトレーサビリティがはっきりし、安全で安心な野菜を生産することが出来るようになります。

人工光型植物工場と太陽光型植物工場を生育段階で使い分けることで自社内にて一貫生産する、「ハイブリッド栽培」を実現したいと思います。

よもぎ

最後に、アグリ事業部の今後1年のテーマは「融合」であると考えています。人工光型植物工場と太陽光型植物工場の融合、ネットショップとリアル店舗の融合、Web上の自社サイトやSNS間の融合、モデルハウスと販売拠点の融合、はたまた、これらすべてが融け合い、それぞれの強みを活かしたまま一体感を作りだすことで、皆様にとってより使いやすく、より親しみやすい「木ゴコロファーム」を展開出来ればと思っています。

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